『魔法使いの嫁』のレビュー

あらすじ

一度に家族と恋人まで失ってしまった少女・彩子は、自ら命を絶とうとしたところを不思議な魔法使い・エリアスに拾われ、彼の弟子として魔法の世界へと導かれる。そこで彼女に与えられた役目は、エリアスと共にバランスを乱す禁呪の器・旅人の骨を探すことだった。

レビュー

本書はファンタジー色が強い小説であり、主人公の彩子が徐々に魔法使いの世界に夢中になっていく様子が描かれている。彩子はエリアスに拾われた当初、自らの命を絶つことを考えるほど絶望的な状況にいたが、エリアスによって拾われ、次第に人生の希望を取り戻していく様子は感動を覚える。

また、魔法使いの世界には複数の種族が存在し、それぞれの種族が持つ魔法の特徴や人間界との関係性など、詳しく描かれていることが魅力的だ。特にエリアスと彩子の師弟関係が魅力的で、エリアスは彼女の成長を慈しみ、彼女が持つ魔法の力に目をかける様子が優しさにあふれている。

しかしながら、物語の進行に一定の強引さがあることが少々気になった。彩子が持つ禁呪の器・旅人の骨を探すことが目的の物語ではあるが、ストーリーが前に進むにつれて、彼女を苦しめる脅威的な存在は薄くなっていく。そのため、終盤の展開が少し唐突な印象を受ける。

まとめ

『魔法使いの嫁』はファンタジー小説として非常に魅力的であるが、ストーリーの進行にやや強引さを感じる部分もあることが欠点である。だが、エリアスと彩子の師弟関係や種族の描写など、細かな部分にまで丁寧な作り込みがなされている傑作である。


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