あらすじ
主人公・春子の恋人である四月が自殺したことから物語は始まる。春子は四月の死をきっかけに、高校時代の友人である竹内と再会し、彼と交際するようになる。一方、春子は四月の死の心の傷を抱えつつ、大学に進学し、そこでウェスタン文学に魅了されていく。
評価
本作は村上春樹の代表作の一つであり、日本の九〇年代を代表する小説の一つともいえる。物語の背景として描かれる六〇年代・七〇年代の日本社会と、主人公たちの繊細な心理描写が丁寧に描かれている点が特徴的である。
特に、主人公の春子が抱える四月の死の心の傷、彼女の内に秘めた孤独感や焦燥感などは、読者に強い共感を与えることができるだろう。
また、ウェスタン文学がテーマとなっている点も興味深く、本作を読んでいるうちに、春子のような文学愛好家になりたくなるような衝動にかられることもあるだろう。
ただし、物語の進行があまりにもゆっくりとしたため、どうしても退屈に感じる箇所がある点は否めない。加えて、ある程度の知識と教養が必要なことも事実であり、すべての読者にとって易しく理解できる小説ではないと言える。
総評
本作は、物語の深みや興味深さ、キャラクターの描写の精密さなど、多くの魅力を持ち合わせた小説である。しかし、一方では進行がゆっくりしている点や、高い知識が必要な部分がある点に注意が必要である。全体として、村上春樹ファンは勿論、文学に興味がある人には是非読んでもらいたい作品である。
以上、『ノルウェイの森』のレビューでした。
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