概要
『人間の椅子』は、作家・谷崎潤一郎による小説で、1933年に発表されました。主人公の淳一は、美貌と気品に溢れた妻・秀子と暮らしていました。しかし、淳一は秀子の美しさとは裏腹に、庶民的な女性・壺井を深く愛してしまいます。その気持ちを抱えたまま、淳一は壺井から見守られる中、自分自身の内面と向き合い始めます。
感想
本作は、淳一が秀子や壺井との関係を通じて、人間の本質や欲望、社会や家族の関係性を深く描き出した作品となっています。特に、淳一と壺井の愛は、決して語られることがないまま、深く強いものとして描かれているため、物語はしばしば重苦しい雰囲気に包まれます。
また、谷崎の描写力が秀逸であり、物語中に登場する風景や建物、衣服などの詳細な描写によって、当時の社会や人々の暮らしをリアルに感じることができます。
まとめ
『人間の椅子』は、秀子や壺井という女性を通じて、男性の欲望や内面を描いた作品です。深い哲学的思考が織り込まれたストーリーは、読者に考えさせることが多いと同時に、読み応えも十分にあります。谷崎潤一郎の描写力も光る素晴らしい作品であり、是非読んでほしい一冊と言えます。
参考書籍
谷崎潤一郎『人間の椅子』、新潮文庫(2004)
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