概要
『世界の終わりについて』は、村田沙耶香による小説です。物語は、東京である日突然発生した大地震をきっかけに、主人公の女子高生・典子と、彼女の周りの人々が、そして徐々に東京から離れていく人々が、それぞれの思いを綴ったものとなっています。
感想
本作は、発表された当時話題となり、その後数多くの賞を受賞するなど、各方面から高く評価された小説です。それも納得の出来栄えだと思います。
一度読み始めたら、とても止まらなくなりました。主人公・典子の内面描写が特に秀逸で、彼女が感じる孤独や、家族とのギャップ、そして自身の人生観といったものが、とてもリアルに描かれています。
また、彼女の周りにいる人々や徐々に東京から離れていく人々も、それぞれに人間臭さがあり、一人ひとりそれぞれの問題を抱えているように感じます。そんな人々の心の機微も描かれているため、人間ドラマにも引き込まれていきます。
そして、もう一つ本作が素晴らしいと思った点は、そこに描かれている人々と、大災害という越えられない壁の間に生じる摩擦や葛藤を、非常に巧妙に描いている点です。人々が生き残るために起こす行動、選択には、一見すると無責任なものの中にも、それぞれが自分の考えに従って行動しているという事実があります。それによって、この小説は、物語自体以外の部分でも、大自然と人類というテーマを深く考えさせられる作品となっています。
結論
『世界の終わりについて』は、非常に深い人間ドラマが描かれた、最高峰の小説です。ぜひとも、一度読んでみることをオススメします。
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