書籍名:「罪の声」

概要

本書は、イギリスの小説家イアン・ランキンによる犯罪小説である。主人公の刑事ジョン・リーブスが、ある事件をきっかけに壊れかけた自分自身と向き合いながら、事件の糸口をたどっていく様子を描いている。

ストーリー

ある日、エディンバラの下町で中年男性が殺害される事件が発生する。ジョン・リーブスは、この事件を担当することになり、被害者の周辺を調べるうち、彼が過去に何らかの事件に関わっていたことが明らかになってくる。一方で、リーブス自身も過去にトラウマを抱えており、事件を追ううちに自分と向き合うことになる。

事件を追ううちに、リーブスは被害者と繋がりのある人々や、事件の目撃者たちと接触する。やがて、被害者の裏の顔や犯罪組織とのつながりが浮かび上がってくる。

最終的に、リーブスは真犯人を追い詰めるが、その過程で自分自身の心の傷跡と向き合うことを余儀なくされる。そして、事件が解決した後も、リーブスの心に残るものがあることを示唆しながら物語は幕を閉じる。

評価

本書は、犯罪小説の定番とも言えるプロットを持ちながらも、主人公のリーブスの内面に焦点を当てた深い物語となっている。リーブスが事件に挑みながら、自分の心の闇と向き合う描写は、非常にリアルで感情移入しやすい。

また、作品の舞台であるエディンバラの下町の描写も詳細で、臨場感がある。読み進めるうちに、その街の風景や人々の生活が頭に浮かぶようになってくる。

ただし、事件そのものの謎解きに関しては、比較的短時間で解決するため、「犯人の正体を推測しながらミステリー感を楽しみたい」という読者には少し物足りないかもしれない。しかし、リーブスの心理描写やエディンバラの描写に魅了されることは間違いない。

まとめ

「罪の声」は、主人公が自らの心の傷と向き合いながら事件を解決していく、感情移入しやすい犯罪小説である。エディンバラの下町の描写も詳細で臨場感があるため、物語に没入しやすい。犯罪物そのものに重きを置きたい読者には少し物足りないかもしれないが、リーブスの心理描写やエディンバラの描写に魅了されることは間違いない。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です