『風が強く吹いている』

概要

本書は、新井素子による青春小説である。北海道の高校に通う野球部の部員たちが、夏の甲子園への道を目指す姿を描いている。主人公の平山周吉をはじめとする部員たちは、それぞれに個性的かつ魅力的なキャラクターであり、また、甲子園出場への壁や青春の儚さを通して成長していく姿が描かれている。

レビュー

『風が強く吹いている』は、野球漫画や映画のような熱血青春ものではなく、現実的かつ静かなタッチで描かれている。部員たちの口々に語られる「夢」や「目標」は、あくまで甲子園出場であり、優勝が全てではない。そのため、野球の試合シーンや勝ち負けに重きを置く場面は比較的少なく、青春小説としての側面が強い。監督と助監督の思惑や、個々の部員たちの人間関係など、それぞれの立場や視点から物語が綴られ、深みが増していく。

また、北海道の冬景色や夏の暑さ、自然や食べ物など、地方色豊かな描写が見られるのも魅力の1つである。野球をするだけでなく、北海道で生きる者としての生活感があるため、読者を引き込む要因となっている。

総評

『風が強く吹いている』は、野球小説という枠を越えた、鮮烈な青春小説である。部員たちや町の人々の生活感や、自然の美しさが丁寧に描かれているため、読んでいると自然と彼らの生活に共感することができる。野球や青春小説に興味がなくても、本書の世界観に没頭してしまうこと間違いなしである。


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