あらすじ
『ニワトコのおんがく』は、小さな町でピアノ教室を開いている主人公・草薙奏子が、ひょんなことから出会ったニワトコの木の精霊・ニワくんと共に、音楽と自然と人々の心をつなぐ物語です。
奏子は、教え子たちのために日々楽曲を選びながら、自分が本当にやりたいことが何か模索していました。そんな彼女が、ある日教室の前でニワトコの木と遭遇し、不思議な世界へと足を踏み入れます。ニワくんとの不思議な出会いや、茶色のシカの森、話すことができる犬や猫たち、美しい琴音、そして人々の心に響く歌声が織り成す物語です。
感想
本作は、音楽と自然、そしてときに心に届くものについて、温かく優しいタッチで描かれています。ストーリーは、普段目にすることのできない自然界や不思議な生き物たちが登場することで、空想世界へ誘うファンタジー要素があります。一方で、奏子が抱える人間臭さや人生の模索に感情移入できる部分もあるため、子供から大人まで幅広く楽しめます。
特に、音楽に関する描写が素晴らしいです。物語の中で奏子や教え子たちが選ぶ楽曲や、ニワくんが奏でる琴の音など、音楽以外でも想像力をかきたてられる描写が多く、心に残る書籍です。
まとめ
『ニワトコのおんがく』は、音楽や自然、そして人々の心を大切にした物語です。細部まで描かれる音楽の世界や、不思議で温かな生き物たちにひとつひとつ心惹かれ、終始ほかのことが気にならず集中して読める魅力があります。自分自身や周りの人、自然界に対してもっと注意深く向き合ってみたくなる、そんな書籍です。
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