『1Q84』レビュー

作品概要

『1Q84』は村上春樹氏の長編小説で、2009年から2010年にかけて3冊に分かれて刊行され、世界中で大ベストセラーとなりました。主人公の Aomame と Tengo という二人の人物が織り成す、現実と異次元の境界線が曖昧な物語です。

主人公の Aomame は、暗殺者としての才能を持ち、ある日、彼女を取り戻すために依頼人から暗殺を依頼されます。彼女は任務を果たす中で、自分がいつの間にか将来が変わっている世界に迷い込んでいることに気付きます。

一方、作家志望の Tengo は、ある出版社から、謎の天才少女・桐沢さんの小説を書き直すことを依頼されます。彼はその作品を読むうちに、その物語の中に存在する“空気の怪物”と呼ばれる存在が、現実の世界にも現れていることを知ります。

二人の物語は交差し、やがて異次元の世界にそのまま取り込まれていく…というのが大まかなストーリーです。

本作を読んで、村上春樹氏の才能に改めて驚かされました。作中で描かれる奇妙な世界観や、登場人物たちの言動は、どこか現実との境界線が曖昧で、物語の展開を読者が予測することはできません。しかし、その中でも登場人物たちはきちんと描かれており、彼らの感情や思考について理解できるようになっています。

また、この作品は第3部が長く、詳細な描写が多いため、一気に読めるものではありませんが、その分読んでいくうちに、深い世界観に引き込まれていくことができます。

あえて欠点をあげるとすれば、この作品が現在の日本における文芸作品としては、やや長すぎると感じることかもしれません。しかし、長編小説を好む方にはぜひ、読んでみていただきたい一冊です。

最後になりますが、「1Q84」は村上春樹氏の代表作の一つといえます。この作品で描かれる世界観や人物たちの心情に、少しでも興味を持った方は、ぜひ手に取って読んでみてください。