概要
『世界の中心で愛を叫ぶ』は、湊かなえによる小説。主人公の健一が高校生の頃、同級生だった恋人の美穂が亡くなり、彼女の死と向き合いながら成長する様を描いている。映画化もされ、カンヌ国際映画祭で高い評価を得た。
感想
本書は、物語の中心に描かれる美穂の死という重いテーマに対して、健一が独りで向き合う雰囲気がとても印象的であった。その中でも、美穂との出会いや幼少期のエピソードなど、切なくも温かなエピソードが散りばめられており、心に残る作品である。
特に、健一が美穂の母親に「美穂はこの世界に来たことがなくて、すぐに戻ってしまったんじゃないか」と言われるシーンは印象的であった。美穂は、生きていたころに健一に遺した言葉「世界の中心で、愛を叫ぶ。」により、大切なものを見つめる目を教えてくれたと感じた。
文章は湊かなえらしい、シンプルで緻密なものであり、最後まで引き込まれる展開であった。また、登場人物たち全員に、それぞれの立場や個性があり、リアリティーを感じさせる書写であった。
総評
『世界の中心で愛を叫ぶ』は、美穂の死という重いテーマにもかかわらず、切なさや温かさが共存する物語である。また、作者の文体と登場人物たちの魅力的な描写が魅力的であった。本書は、重たい作品を読みたい人におすすめしたい。
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