『国家という病』のレビュー

概要

『国家という病』は、政治学者の鳥井信尚氏が書いた政治哲学書である。現代の国家は、病的なまでに強制力を持っているが、そのような国家によって人々がかえって自由になっているという矛盾について考察している。

内容

国家というのは、本来は市民が平和的に暮らすための道具であるはずだが、ここ数百年の現代国家は、国民に対して極度の強制力を行使することでその権力を維持している。しかし一方で、そのような現代国家においては、市民に豊かな文化や教育の機会が与えられることで、一定の自由を得ることが出来る。このような相反する二つの要素について、鳥井氏は深く分析している。

考察

本書は、非常に深い思考の上に書かれた作品である。国家という病的なものが必要な理由、その病的な権力を市民が受け入れるメカニズム、そして市民が自由を得るためにはどのような選択をすべきか、という点について論じている。ただし、本書は哲学書として書かれており、専門用語が多く、比較的大変な読み物である。

評価

本書は、政治学や哲学に興味がある人にとっては非常に良い読み物であると言える。ただし、その難解な内容や表現によって、初心者には敬遠される可能性がある。本書を読むにあたっては、多少の先行知識や、時間をかけて注意深く読み進めることが必要である。

参考文献：鳥井信尚(2016)『国家という病: 自由と強制力の哲学』青土社.