あらすじ
北海道の農村で生まれ育った少年、高校生の牧村憲一郎は、音楽に出会い、ピアノを弾くことを夢見ていた。しかし、農業の手伝いや学業に追われる中、音楽を続けることができず、十数年が過ぎる。そんな中、偶然再会した音楽家の大先生・田辺清司に出会い、自分自身と向き合い、音楽家としての道を模索する憲一郎の姿を描く物語。
感想
この小説は、一見すると音楽を中心とした物語であるが、実際は人生の成長をテーマに描かれた作品だと感じた。
主人公である憲一郎は、想像以上に複雑な背景を持つ人物であり、その境遇や苦悩、成長過程を通し、読者に共感を呼び起こす力がある。また、彼が受けた音楽指導や農業に対する思いにも、作者である宮下奈都さんの細やかな心づかいが感じられた。
また、登場人物たちの心の中を的確に描くことのできる宮下さんの文体にも魅了された。「羊と鋼の森」では、自然な言葉遣いで、物語に没入することができる。
一方で、もし音楽に疎い方が読んだ場合、理解しづらい部分があるかもしれない。特に、演奏の表現が豊かに描かれた場面などは、音楽知識がないと想像がつきにくいものがあるため、少し読み手側で工夫が必要だと感じた。
総評
「羊と鋼の森」は、音楽を通じて成長する主人公の姿を描いた感動的な物語だ。宮下さんの文体がつづる文中の細部まで、情感豊かであり、特に音楽家や農家に共感が持てるであろう点が魅力だ。音楽に興味がある方には特に読んでいただきたい一冊である。
参考になるレビューを書けたかどうか不安ではありますが、頑張って書いてみました!
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