『僕たちがやりました』のレビュー

概要

『僕たちがやりました』は、朝井リョウによる小説である。2014年に講談社より出版され、2017年にはテレビドラマ化された。主人公の高校生2人が、ある事件をきっかけに崩壊していく人間関係を描いた青春小説である。

高校2年生の鷹野と津崎は、同じクラスで友人同士であった。ある日、学校で女子生徒が不審死を遂げた事件が発生する。2人はこの事件に携わることになり、やがて犯人ではないかと疑われるようになる。

事件と共に、2人の関係も徐々に変わっていく。鷹野は過去にトラウマを抱えており、その影響で人間関係に対して不信感を持っていた。一方、津崎は鷹野に憧れており、彼のことを守るために嘘をつき始める。

やがて真相が明らかになり、2人の友情は崩壊していく。事件を契機に、それぞれが見せた人間性の裏側を描いた作品である。

本作は、若い人間の葛藤や友情、嘘と真実について描いた作品である。朝井リョウ独特の緻密な描写と独特の距離感によって、読者は登場人物たちの内面に迫り、物語に引き込まれる。

特に、鷹野のトラウマに多くのページが割かれているが、彼の心理が非常にリアルに描かれている。また、津崎が鷹野に対して抱く憧れや、それが嘘をつかせる原因になっていることも、読者に深い印象を残す。

ただ、物語の終盤に向けて展開が急になり、いくつかの謎が解決されるまでの流れがやや不自然に感じられた。それでも、ラストシーンの表現は非常に印象的であり、物語全体をまとめている。

『僕たちがやりました』は、朝井リョウの代表作の一つである。事件を通じて、高校生2人の友情と心理が描かれている。緻密な描写と距離感によって、読者は登場人物たちの内面に迫り、物語に引き込まれる。ただ、終盤の展開にはやや不自然なところがあるが、ラストシーンの表現は非常に印象的であり、感動的な作品である。