「蟹工船」レビュー

概要

「蟹工船」は小説家・田辺聖子の代表作で、中国の江南地方の漁村を舞台とした物語です。主人公である淘气(とうき)は、貧しい家庭で育った若者で、借金の返済のために蟹工船に乗り込むことを余儀なくされます。そこで彼が目にするのは、激しい過酷な労働と、無慈悲な船長たちによる虐待の日々でした。

感想

「蟹工船」は作者自身が実際に現地を取材して書いた作品であり、その詳細な描写によって、読者は私たちとはまったく異なる世界を垣間見ることができます。漁業の過酷な現実に直面する淘气の姿や、船員たちの一言一言にこめられた無情さは、胸を打つものがあります。

しかしながら、物語の終盤において、淘气が解放されたあとの描写には、軽薄な語り口が目立ち、物語の雰囲気が壊れてしまっている印象を受けました。また、登場人物の中には、あまりにもステレオタイプな描写が散見されるため、物語の深堀りがうまくいかない部分もあります。

総評

「蟹工船」は、中国の漁村を舞台にした、傑作小説です。作者が実際に取材を行い、細部にわたる描写が行き届いていることが、作品の魅力の一つです。しかしながら、物語が深堀りされていない部分や、雰囲気の壊れる描写があるため、まだ改善の余地があるかもしれません。それでも、「蟹工船」は、世界の貧困という問題に向き合ううえで、大切な一冊だと思います。


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