あらすじ
主人公は30代の男性で、余命わずかな宣告を受けた日に突然、真っ白な猫が現れ、自分の命と猫の命を交換する取引をする。交換してからの一週間、主人公は毎日世界からひとつだけ消える現象に見舞われる。
感想
本書は、一見不思議なSF小説として語られがちですが、実際に読み進めていくと、深い哲学的な問いかけが現れ、心に深い刺さりを感じます。
登場人物の内面の描写がとても詳細で、ある瞬間の感情を自分自身でも体感してしまうほどです。特に主人公の語りが、温かさと淋しさの入り混じったもので、胸をしめつけられるような印象を与えます。
また、一日一日消えていく現象は、時間というものを考えさせられます。もしもあと一週間で死ぬと宣告されたとき、自分はどのように過ごすだろうかと考えるようになります。また、消えるものの中には何があるのかも読み手に問いかけながら進められるストーリーは、緻密な構成力のもとに成り立っていることがわかります。
まとめ
『世界から猫が消えたなら』は、SF小説に期待する要素を取り入れつつ、深い哲学的な問いかけを含む一冊です。登場人物の心情描写がとても印象的で、一度手に取ると、どんどんストーリーに引き込まれていきます。是非読んでみることをおすすめします。
※本記事はAmazonのレビューから抜粋して作成しました。
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