作者:宮部みゆき
宮部みゆき氏の代表作の一つである『群像』は、ミステリー小説というジャンルにとどまらず、社会派小説としても高い評価を得ている作品です。
舞台は現代日本の首都圏。主人公は警視庁捜査一課の刑事、堂島大介。彼はある事件をきっかけに自らの過去と向き合うことになります。
物語は、繁殖する犯罪者たちを取り締まるために結成された「グループU」と、彼らに対抗する警察の攻勢が生み出す様々な事件を描きます。そして、その一環として起きたある誘拐事件が、堂島にとって人生のターニングポイントとなります。
宮部氏の筆致は安定感があり、事件の緻密な描写や登場人物の掘り下げなど、ストーリーに密接に絡む部分には高いクオリティが感じられます。加えて、浮浪者や元囚人といった社会的マイノリティに対する配慮も見られ、一面的に物語を描きたい廉価小説とは一線を画す作品となっています。
しかし、小説としてはややボリュームがあり、一般的なミステリー小説以上に読み応えがあります。また、重いテーマが取り扱われているため、気分的に読み進めるのが難しい部分があります。ただし、しっかりと読み進めることで、読者は深い感動を味わうことができるでしょう。
結論として、『群像』は一般的なミステリー小説から入門するよりも、小説全般に興味を持っている人や、社会派小説に興味がある人向けの作品であると言えます。
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