『ノルウェイの森』 村上春樹著

あらすじ

1984年、大学を中退した主人公のトオルは、自殺した友人ナオキの恋人である直子に惹かれていく。一方、トオル自身もまた、かつて愛し合った元彼女の詩子と再会する。トオルは二人の女性を愛する内に、自分自身の青春と向き合っていく。

感想

本作は、村上春樹の代表作のひとつであり、青春小説としても有名だ。トオルが二人の女性を愛し、自分自身を見つめ直す姿が描かれる。その中で、孤独、死、愛、家族など、深いテーマが随所に散りばめられている。

村上春樹独特の寂寥感あふれる文体も魅力のひとつだ。一行一行が美しく、どこか切なく、心に残る言葉やシーンが多くある。登場人物たちの心情や感情が緻密に描かれ、読者の心を打つ。

ただ、本作は青春小説であるためか、ストーリーが進むにつれ、登場人物たちの心情描写が薄くなり、展開が単調に感じることがあった。また、エッセイ風の章が挿入されたり、登場人物の過去のエピソードが多く出てきたりと、要所要所で読み進めるのが難しく感じる場合もある。

しかし、村上春樹の描く“寂しさ”や“切なさ”、そして愛の形が、一度読んだだけではなかなか消えない。青春小説が好きな人や、村上春樹作品を読んでみたい人にはぜひおすすめしたい。

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