作品概要
「ノルウェイの森」は、村上春樹による小説である。1987年に発表され、全世界で累計800万部以上を売り上げる大ヒット作品となった。
物語は、主人公のトオルが、友人の自殺から始まる。彼は、自分が残すことができた人生について、苦悩しながら過ごしていく。大学を離れ、自分の好きなことを探し求めて、彼女のナオコや元恋人の直子など、様々な人物と出会う。激動する時代背景を背負いながら、彼が人生で辿る成長と呼べるものを、緻密な言葉とともに描いた感動作である。
読書感想
「ノルウェイの森」は、物語の舞台設定に登場する様々な人々の心理をリアルに描いたことが、印象的な小説である。トオルを取り巻く人々は、心に闇を抱えており、それが物語の進行に度々表出する。それは彼らが普段隠している本来の自分の姿だ。
また、本作に登場する女性キャラクターの魅力も大きい。ナオコや直子は、それぞれトオルの人生に大きな影響を及ぼすキャラクターだ。ナオコは新しい価値観を、直子は人生の重荷から解放される在り方を示し、トオルの人生に価値をもたらす存在となっている。
しかし、物語の進行自体は、読者をスリルや興奮の渦に巻き込むわけではなく、審美的な美しさを備えた伝記のようなテキストである。文章は、美しく緻密であるが、それがそのまま物語に反映されるわけではない。そのため、物語の進行が遅いと感じることもある。
まとめ
「ノルウェイの森」は、登場キャラクターの人間ドラマを、深い愛で描いたエンタテインメント文学と言える。心理描写が優れており、登場キャラクターたちの成長過程が描かれている。文章の美しさに魅了されるも、物語の進行が遅い場面があるため、読み始める前に物語の長丁場を覚悟する必要がある。
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