概要
山田宗樹による小説『騒動』は、人物描写やストーリー展開に優れた作品である。物語の中心には父親と息子との確執があり、それを取り巻く家族や友人たちの葛藤が描かれる。また、状況によっては誰しもが行動に迷うような選択を迫られる描写にも力が入れられている。
登場人物
・山田透(父親):成功したビジネスマンだが、息子の薬物依存に対する対処に苦慮する。
・山田宏(息子):薬物依存に陥り、父親との確執を深める。
・加藤英二(友人):山田宏と共に薬物を使用していた過去を持つ。
・山田理沙(妻):夫と息子との間で揺れ動く。
感想
本作品は、人間関係を描いた作品の中でもかなりレベルが高いと感じた。特に家族間の確執や苦悩を巧みに描写しており、一度でも家族や友人と対立したことのある人であれば、何かしらの共感を覚えることだろう。
また、ストーリー展開にも力が入っており、決して退屈することのない展開であった。人物描写が深かったため、気持ちの動きにすんなりと共感することができた。ただ、一部のセリフに関しては違和感を感じた。読んでいるこちらが緊張感を持っている中、短いセリフでやや空気がほころびてしまった場面もあったためだ。
総じて、山田宗樹による『騒動』は、家族関係を描いた作品としてとても優れていると思う。緊張感のあるストーリー展開に引き込まれながらも、人物描写によって感情移入していたときめきを味わえる作品だと感じた。
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