概要
『蟹工船』は、 萩原朔太郎による日本の小説である。第二次世界大戦前夜、 中国の河口に集められた労働者たちが乗り込む、 蟹を運ぶ客船「松葉丸」。主人公は、網元の娘を訪ねて来た青年・一郎である。
ストーリー
物語の舞台は、中国・山東省。そこで、蟹を捕るために、広東などの貧しい地方から多くの労働者たちが、強制的に集められていた。彼らは、そのほとんどが負傷し、満足な医療も受けられず、 飢えと寒さの中、働かなければならなかった。そして、彼らは収容所から、人が住むほどもない狭い船『松葉丸』に乗り込まされる。
主人公の一郎は、網元の娘を訪ねて中国に来た青年である。しかし、彼が山東省に着いた時には娘は亡くなっており、 代わりに彼が志願し、『松葉丸』の乗組員として働くことになる。
一郎は、同じ船にいる女性・安子、 男性・心助と出会い、友情を育む。しかし、船内は非常に過酷であった。飢え、寒さ、病気、そして海賊の襲撃。わずかに漂う望みを描いた『蟹工船』の物語は、一郎たちが辛酸を舐めつつも、団和式の中で助け合う姿が描かれている。
感想
『蟹工船』は、昭和期に書かれた小説でありながら、今読んでも全く色褪せない名作である。労働者たちが抱える苦しみや痛みを描きつつ、希望や人間力を描いている。また、過酷な状況でも助け合う人間関係が、一筋の希望となって物語全体を通して投影されている。萩原朔太郎の緻密な描写と、船員たちの心理状態の推移をきちんと描き出したストーリーが素晴らしい。強制労働の悲惨さを改めて考えさせられる作品である。
以上が、『蟹工船』のレビューである。読み応えがあり、 お勧めの一冊である。
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