概要
本書は、岩波書店によって1927年に刊行された「生きてゐるものへの呼び声」という小冊子をもとに、同社が発行する学校図書のために改訂・増補されたものである。著者の吉野源三郎氏が、若者たちに向けて「どう生きればよいか」という問いに答える形で、自己のあり方や社会のあり方、自由や愛情などを思索的に語った哲学書である。
感想
本書は吉野氏が自身の哲学的な考えを語ることで若者たちに示唆を与えようとする試みであるが、その内容は私たちが今も共有しうる普遍的な価値観を持っている。そのため、現代においても読み手にとって興味深く読み進められる一冊であると思う。
本書では、吉野氏が下された社会的な評価や、成功や失敗に対する考え方なども掘り下げられている。それぞれの哲学にはまた、自己実現や感動などさまざまなテーマが織り込まれており、読み進めるうちに自分自身や自分たちが生きている時代と向き合ううえでの示唆が得られる。つまり、本書は吉野氏の書いた当時よりも現代においても十分に読み進める価値のある哲学書である。
総評
吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」は、当時の若者たちへ向けた哲学書であるが、現代においても十分に読み進める価値のあるものである。枯れた哲学書というイメージがあるかもしれないが、本書は吉野氏に翼を与えた挑戦的で開放的な考え方がある。最後に残る一言としては、「誰もが、吉野氏の思想に共感しうる何かを見出すことができる本」と言えるだろう。
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