『1Q84』村上春樹

あらすじ

本作は、世界が1つの謎めいた世界となった2011年の東京を舞台に、主人公の三体良三と出会い恋に落ちた少女・豊子の往来を軸に展開する。豊子は、仕事も家庭も失い、消息を絶った元恋人・派遣社員の岡本に、危機を感じて追いかけられ、逃げ出した末に、偶然三体に出会う。三体は、「出口」を見つけて現実世界に戻りたがっており、そのために豊子を誘拐する。

感想

本作は、独特な世界観が魅力的な作品である。一見すると現実と変わらない東京が描かれているが、実は微妙に異なる異界であり、アオムという存在によって支配されているという設定が面白い。また、主人公たちはそれぞれに過去を背負っており、その過去と現在がうまく絡み合っているのも見どころの一つである。ただ、作品の分量が非常に多く、長編小説としてはかなりボリュームがあるため、読者にとっては一苦労かもしれない。しかし、その分その世界観に没入し、登場人物たちの成長を見届けることができるため、読む価値は大いにあると思う。