概要
『魔女たちの舞踏会』は、松本清張による長編小説である。1950年に発表され、以来多くの読者に愛され続けている作品。物語は、満州事変前夜の1930年代、上海の華僑界を舞台に、美女と謎めいた女性グループ「魔女たち」が紡ぐ陰謀と密室殺人事件を描く。
ストーリー
主人公は、なんでも屋の仕事をしている八十川勝己。彼は、ある依頼を受け上海に渡る。彼が向かった先は、上海の日本人街にある写真館である。そこで八十川は、肩身の狭い思いをしている華僑の女性・芳枝と出会い、縁談の世話を頼まれる。また、偶然にも「魔女たち」の集会に出席する。
やがて、魔女たちの女王・パイソンに脅された八十川は、彼女たちに協力することに。しかし、その夜、パイソンが殺されるという事件が起こる。ついには、八十川自身が疑いの対象となってしまう。
感想
本作は、松本清張の得意とする「密室」や「偽装」といったテーマが豊富に盛り込まれている。それに加え、中国の風俗や歴史なども描写されており、1つの小説で複数の要素を楽しむことができる。特に、登場人物たちの情報操作や駆け引きは、秀逸であると感じた。
また、セミヌード写真やトランスジェンダーの描写など、当時にしては大胆なテーマにも挑戦している点にも注目したい。ただし、現代の価値観から見ると、性的な描写が多いと感じる方もいるかもしれない。
全体として、登場人物の心理描写がじっくりと描かれ、緻密かつ壮大な物語に仕上がっている。松本清張の作品の中でも、特に傑作といえる一冊であると感じた。
まとめ
『魔女たちの舞踏会』は、松本清張の代表作の1つである。1930年代の上海を舞台に、魔女たちの陰謀と密室殺人を描き出す。登場人物たちの駆け引きや、多様なテーマに挑戦する松本清張の意欲的な作品であると感じた。
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