作品概要
村上春樹著の小説「ノルウェイの森」は、1987年に出版された作品である。舞台は1960年代の東京大学。主人公のトオルは、自殺した友人の恋人であるナオコと、校内で出会い、恋に落ちる。一方、トオルの幼なじみであるレイコとも思いがけず再会し、複雑な三角関係が描かれる。
感想
本書は、主人公のトオルが過去の思い出と現在の恋愛を織り交ぜながら語る一人称の筆致が特徴的だ。トオルが語る言葉の中には、若者の不安や孤独、そして深い哀しみが込められており、読者の心に響く。また、レイコやナオコも独自の人生を生き、それぞれの苦悩や葛藤が描かれることで、キャラクターにも深みが与えられた。
また、小説中には細かい描写が多く取り入れられており、季節の変化や音楽、食事、風景などが丁寧に描かれることで、読者は作品の空気感を味わうことができる。特に、トオルが訪れた北海道の自然や、ナオコが住む団地の雰囲気などは、印象に残る描写だ。
全体的に、本書は恋愛や人生の苦悩を描いた作品であるが、同時に季節感や音楽、風景の描写なども魅力的である。村上春樹独特の筆致が存分に発揮された傑作と言えるだろう。
※参考書籍
村上春樹 「ノルウェイの森」、新潮社、1987年。
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