【書籍レビュー】『夜の果てに』
作品概要
『夜の果てに』は、村上春樹による短編小説集です。1996年に刊行され、城南信用金庫文化賞を受賞しています。全12篇の短編から構成されていて、いずれも人間の心や人生、生と死などをテーマにしています。
読書の感想
本書は、どの短編にも共通して、深い哀しみや静かな寂しさが漂っています。しかし、それが耽美的に表現されているわけではありません。文章の中に混ざっている些細な事柄や風景などが、人物の心情を的確に表現していて、深い感情移入が生まれます。
なかでも、『タンゴ』という短編は、人生のさまざまな局面を舞台に、巧みな筆致で書かれていて、一気に引き込まれました。結末に涙が出るほど感動しました。
一方で、私は村上春樹の作品が好きですが、本書は若干ハードルが高かったです。一読しただけでは、意味がよくわからなかったり、どこか淋しい気持ちになってしまったりすることがあります。
まとめ
『夜の果てに』は、村上春樹の深遠な世界観を堪能できる作品だと思います。しかし、分かりやすいストーリーというわけではないため、少し想像力を要するかもしれません。感情移入することができる一方で、深く考えさせられる作品だという印象です。
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