『ノーベル賞とファシズム』を読んで

概要

『ノーベル賞とファシズム』は、ノーベル賞受賞者たちがナチス党に与したり、ファシスト政権下での行動について取り上げた本です。著者は、フィリップ・シューラー氏で、2009年にアメリカで出版されました。

本書は、第一次世界大戦後、ノーベル賞が誕生した時期から始まります。その時代の喧騒の中で、世界は決して平和とはいえない状況にありました。ファシズムの政権が台頭した時期には、多くの文化的・芸術的人材たちが、ファシズム政権下で生活を余儀なくされていました。本書は、そのような政治的な状況や、ノーベル賞受賞者たちのエピソードなどを取り上げ、読者に日本とは異なる文化圏における歴史的出来事について興味深く知ることができます。

詳細

本書の内容は、ノーベル賞受賞者たちに絞り、その中でナチス党やファシスト政権に協力した人物たちを取り上げています。例えば、ノーベル文学賞を受賞したゲルハルト・ハウプトマン氏は、ナチス党に入党していたことが判明し、受賞後には反ユダヤ主義や民族主義の根深い思想に基づく本を出版しています。また、ノーベル平和賞を受賞したリッサンデルロ・フェッロ氏は、イタリアでの戦争協力により受賞した人物で、政策やイデオロギーを問わずに受賞者たちが抱えていた熾烈な政治的状況が浮き彫りになっています。

本書は、20世紀の西欧社会を、その時代におけるノーベル賞受賞者たちの方向性とともに考察した内容となっており、人々の生の声や言動から、当時の社会の模様を知ることができます。

感想

本書は、20世紀のヨーロッパ社会におけるナチス党やファシスト政権下での、文化人たちの動向や窮状について、あたかも自分が当時の場にいるような、リアルなエピソードが丁寧に描かれていると感じました。無理に主張を挟み込んだりせずに、事実や人々の思考に驚きと感心を持ちながら読み進めることができました。私自身、20世紀の西欧社会について知識が浅かったため、様々な側面を学ぶことができ、非常に興味深かったです。

まとめ

『ノーベル賞とファシズム』は、西欧社会史に興味がある方や、ナチズムやファシズムの実態を知りたい方にお勧めの書籍です。ヨーロッパの文化人たちを取り上げ、社会的背景と結びついたノーベル賞受賞者たちの動向がリアルに描かれているため、一方的な偏見などをなくし、多様な学問とともにヨーロッパ社会を知ることができます。


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