はじめに
「東京奇譚集」は、作家・坂口安吾が1946年に発表した短編小説集です。東京を舞台にした15篇の怪奇小説が収録されています。今回は、そんな「東京奇譚集」を読んでの感想をお届けします。
ストーリー
本書は、東京やその周辺地域に住む人々が、不可思議な現象や事件に直面する様子を描いた短編集です。例えば、「一人の女」という作品では、主人公の男性が自宅に忍び込んでくる謎の女に興味を抱きます。彼は彼女が何者なのか探ろうとするのですが、見つかった時には予想外の結末が待ち受けていました。
また、「赤い仮面」という作品では、主人公の男性が仕事で立ち寄った古い寺院で、赤い仮面を被った美しい娘と出会います。二人はすぐに惹かれあいますが、美女が一体何者であるのか、次第に謎が深まっていきます。
これらの作品を含め、本書は不可思議で不気味な東京の世界に読者を誘います。
感想
「東京奇譚集」は、読みながら背筋が寒くなるような不気味な作品ばかりでした。特に、坂口安吾は主観的な描写が得意であり、主人公たちの感情や思考が細かく描かれているため、ストーリーに一層深みが出ています。
また、作者の文章技術にも感心しました。語彙力があり、独特の文章表現で読者を魅了します。例えば、「茫洋と静かな虚無が、夜の空気の中に膨脹をはじめ、空間全体を氷りぎわいた感じにしていた」(「寂寞」という作品の中での描写)など、単語選びや表現力が素晴らしいです。
まとめ
「東京奇譚集」は、怪奇小説好きにはたまらない作品でした。作者の坂口安吾が描く東京の世界観には、深みと不気味さがあります。本作を読んで、東京に詳しくなり、同時に文学の魅力にも触れることができました。おすすめの1冊です。
<参考文献>
- 坂口安吾『東京奇譚集』(新潮文庫、2003年)
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