概要
東野圭吾による推理小説「怒り」は、2014年に発表された作品です。本作は、ある事件をきっかけに展開する、人間の葛藤や愛情を描いた物語となっています。事件を通じて、隠された秘密が明かされ、登場人物たちの過去が明らかになっていきます。
ストーリー
本作は、ある暑い日に鉄道の車両内で、男子高校生が刺殺されるという事件からはじまります。被害者の父親である青木は、一人息子を亡くしたショックと怒りを抱えています。
事件の犯人として浮上したのは、青木の長年の友人であり、被害者の担任である教師、宮園でした。しかし、彼は犯行を否定し続け、青木は彼に対して復讐を誓います。
事件を解決するため、青木は犯人探しのために、刑事の早乙女と一緒に動くようになります。この中で、隠された秘密が次々と明かされ、それぞれの過去に向き合うことになっていきます。
レビュー
本書は、事件から回想シーンに移行するごとに、登場人物たちの過去が明らかになるという構成になっています。犯罪小説としての要素はもちろんありますが、人間ドラマに重点が置かれている作品です。
特に、被害者の父親である青木の心情描写は、非常に切実であると感じました。息子の死をきっかけに、友人であった宮園に対して怒りを募らせる様子が描かれているのですが、その一方で、自分自身も息子との思い出が色濃く残っている様子が伝わってきます。
一方で、犯人となる可能性のある宮園の心情も描かれています。学生たちへのアドバイスや教育方針、さらには自身の過去についても思いを馳せている様子が描かれ、事件の真相を知る前に読者は犯人探しに夢中になってしまいます。
全体的に、教師と生徒という特殊な関係性が描かれており、そこから発生する事件を通じて、人間の葛藤や愛情が描かれている点が良かったと感じました。
まとめ
「怒り」は、人間ドラマに重点を置いた犯罪小説であり、登場人物たちの心情描写に深みがある作品です。どの登場人物もそれぞれに秘密を抱えているため、読み進めるごとに展開が面白くなっていくので、一度読んでみることをおすすめします。
コメントを残す