『1Q84』

概要

『1Q84』は、村上春樹による2011年に刊行された長編小説である。物語は、平凡な31歳女性、両親失踪の過去を持つ原田糸子が、ふとしたきっかけから『1Q84』と呼ばれるアルファベットにはない世界に迷い込み、彼女自身と出会った少女、彼女の恋人である出版社編集者が、それぞれの運命を辿っていく様子が描かれている。

ストーリー

ひっそりとした平凡な生活を送る原田糸子が、自身の仕事先に現れた昔の恩師、出版社編集者の桐原が、彼女にとっての「事件」の始まりとなる。

自宅に帰ると、ある日本語の印刷物の中に、アルファベットにはない「Q」の文字を見つける彼女。そして、彼女が目撃したことのあるものと、現実の形とで、不気味なまでに違いがあることに気づく。

「何かがおかしい」、「自分が別の世界に迷い込んでしまったのでは？」と自分を疑う彼女が目撃する、見知らぬ人々の振る舞いや、彼女の小説「空気さがし」が事件を巻き起こす要因となる。

感想

『1Q84』は、村上春樹節全開の作品であると感じた。作者の語り口が、糸子を中心に繰り広げられる出来事をわたしたちにドラマティックに伝えてくれる。また、作者の文章中に登場する食べ物や、街の風景の描写など、細かなディテールにも注目したい。

ただし、物語のラストは、全体的にスリリングな展開とは対照的にあっけなく感じるもので、強力な印象を残す作品であったが、それでも、村上春樹の作品を読むのは、常にエンターテインメントと芸術という２つの要素が見事に融合された愉しさがあると思う。

まとめ

『1Q84』は、日本の現代文学を代表する作家村上春樹の長編小説であり、読者を、辞書を開かなくても理解できる文体という、「村上春樹ワールド」が楽しめる。細かな描写などにも注目し、読み応えがある作品である。