あらすじ
村上春樹さんが1987年に発表した小説『ノルウェイの森』は、東京大学に進学した主人公のトルコが、青春時代に出会った2人の女性との恋愛に揺れる様子を描いた作品です。陰鬱な雰囲気の中で物語は進んでいきます。
感想
本作を読んで感じたのは、主人公トルコが自分探しの旅をしているようだということです。彼は大学生活と共に、自己を確立することや、この世界での意味を見つけることを求めています。それを探す中で彼が出会ったのは、19歳当時のトルコにとってもう1つの自分とも言える、心の支えになる存在でした。しかし、恋愛の中でその存在を知った後は、何もかもが壊れていってしまいます。そこから物語は、彼の心の葛藤や痛みが明確に描かれ、読んでいる私たちに切なさを与えてくれます。
また、本作は非常に情景描写が上手であると感じました。トルコがバイト先で、夜に鴉が飛び回る様子、ノルウェーの森にいる木々の風景、夜のキャンプファイヤーの炎など、それぞれが非常にリアルに描かれており、読み手に臨場感を与えてくれます。そのため、物語に入り込むとともに、トルコの心情に共感することができました。
総じて、『ノルウェイの森』は、自己探求や青春の複雑さ、失恋といったことを描きながら、非常にリアルかつ美しい情景描写で読み手を引き込む傑作だと思いました。
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