『羊の木』

あらすじ

小説家である森下薫は、恋人であり担当編集者でもある辻村鉄三郎とともに、愛知県瀬戸市にある森下薫の実家の灰塚へと向かう。そこで彼女は、自分が子供の頃に自殺した幼馴染の笹川清美と再会する。清美は、羊を見ながら生きる森下の夢から抜け出すため、彼女を再び自殺へと誘う。

レビュー

本書は、自殺という深遠なテーマを扱いながら、人と人との繋がりや愛についても描かれた作品である。特に、自分とは違う存在との出会いが、どのように自分を変えていくのかという点が印象的だ。羊のように穏やかで自分だけの世界に閉じこもってしまいがちな森下薫が、清美と出会うことによって、新たな価値観を見出すことができた。また、物語の終盤で、森下が清美を救うために奮闘する様子は、まるで羊飼いが羊を守るように、自らの命を懸けて守ろうとする美しい姿勢であった。

文章自体はシンプルで、読みやすくなっている。しかし、それでもストーリーに深みがあるため、一度読んだだけでは全てを理解することができないような、緻密で奥深い作品であると感じられた。

まとめ

『羊の木』は、たとえ死に至る淵に立たされても、自分自身の生きる意味や人生に対する価値観に気付くことができる、非常に良質な小説である。自分だけでなく、自分と違うものとの出会いを大切にすることを考えさせてくれる一冊である。

参考文献:葉室麟『羊の木』、新潮社。


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