「獣の奏者　エリン」評価

はじめに

獣の奏者シリーズは、上橋菜穂子の原作小説に始まり、アニメ、ドラマ、漫画など多岐にわたるメディアミックスが展開されている。今回は最初に発表された小説の1巻「獣の奏者　エリン」について評価したいと思う。

物語は、大昔に生きた人間と獣の奏者の物語を語り継ぐ小国・カザルム王国が舞台。主人公のエリンは、謎の死を遂げた、彼女の母親ソヨンの最後の言葉「いつか必ず、あなたに歌う歌があると知っているから、帰れ」という言葉を受け、ソヨンが大切にしていた王国の職業「獣医」を目指す。

エリンの母親であるソヨンは、狂鳥（クロウタドリ）、ジハン（馬）、ニシキヘビ、楽犬（ラング）などの動物たちを仕留めることができる「獣の奏者」であり、エリンは母親の遺志を継いで、獣医として動物たちを守るための冒険を繰り広げる。

アニメや漫画での展開も良く知られている本作だが、原作小説も素晴らしい。上橋菜穂子氏の描写力により、動物たちの細やかな感情描写や、王国の歴史や文化についても詳しく描かれている。

特に、獣の奏者として活躍するソヨンの謎めいた過去やエリンが獣医として成長していく姿など、印象的なエピソードが多く、一度読んだら続きを読まずにはいられない魅力がある。

また、本作品はアニメや漫画、ドラマといった他のメディアとは違い、動物たちと人間との交流を深く描写している点が大きな魅力となっている。

本作品は、獣の奏者として動物たちを守ることを目指すエリンの成長や、彼女の母親ソヨンの謎めいた過去など、素晴らしいエピソードが満載であり、一度読んだら続きを読まずにはいられない魅力がある。是非、読んでみることをおすすめしたい。