概要
本書は、歴史学者・森山眞弓氏による昭和史の総合的な見通しを示す著作である。昭和天皇の時代を中心に、政治・経済・文化などの様々な分野での出来事を詳細に綴っている。上巻は1926年から1945年まで、下巻は1945年から1989年までを扱っており、共に約600ページに渡る。
内容
上巻では、昭和初期の政治的混乱、日中戦争、太平洋戦争に至るまでの出来事を綿密に描き出している。特に、昭和10年代における政治的混迷や松岡派、近衛派などの内閣編成に関する描写は興味深い。
下巻では、GHQによる占領政策、経済復興、冷戦期の国際情勢、天皇制問題などを綴っている。特に、天皇制問題に関する岸信介や吉田茂による思想の変化について、詳細な分析がなされている。
感想
本書は、事件や人物などの細かい事実を緻密に裏付けながら、大枠を把握するための物凄い総合力を持った書物である。また、森山氏が独自の見解を提示している点も魅力的である。一方で、分量が非常に多いため、読み進めるのには相応の時間が必要である。
まとめ
『昭和史』は、昭和期の総合的な把握に不可欠な書物である。多岐にわたる出来事や人物について詳細に綴られており、非常に読み込み甲斐がある。ただし、分量が多いため、時間を十分に確保して読む必要がある点に注意が必要である。
参考文献:
森山眞弓『昭和史 上』・『昭和史 下』 中央公論新社
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