『魔法使いの嫁』レビュー

概要

『魔法使いの嫁』は、ヤマザキコレの漫画作品であり、アニメ化、小説化もされている。主人公のチセは魔法使いに売られ、彼女を買った魔法使いのエリアスと共に暮らしていく物語である。

本作は、現代日本を舞台にしながら、魔法というファンタジーの要素を盛り込み、物語を語っていく。主人公のチセは、孤児であり、人から魔法が見える少女である。彼女は、暴力を振るう養親に追い詰められ、自ら望み魔法使いに売られてしまう。

その後、彼女を買った魔法使いのエリアスと出会い、彼女は彼と共に暮らすことになる。彼女は彼を「ご主人様」と呼び、独特な契約の下、彼と共に魔法を学び、成長していく。そして、彼女の身体に刻まれた「星の目」という呪いに打ち勝つための物語も描かれていく。

主人公のチセは、普通の幼い少女から、魔法を学び、成長していく。彼女の人柄は、健気で深い優しさに満ちている。また、魔法使いのエリアスは、力強く冷たい印象をもつが、それは本当は、彼女に対する優しさの裏返しだった。2人の関係は、主従関係でありながら、お互いを信頼し合い、強く結ばれる。

本書で印象に残ったシーンは、チセがエリアスに「家族になろう」と提案するシーンだ。彼女は、この世界で、家族や友達というものを知らなかった。しかし、彼女は孤独さからか、エリアスと共に何かを築き上げようと願ったのだ。

『魔法使いの嫁』は、魅力的なキャラクターとストーリー展開が見所だ。ファンタジーの世界観を描きつつも、主人公のチセの心境描写に力を入れている。また、二人の主人公が深く結ばれていく姿は、見る者を心温まる気持ちにさせてくれる。全体的に、世界観も含めて美しい作品である。