概要
『1Q84』は、村上春樹による全三巻の小説。本作は、村上が「自分史上最大作」と評する長編小説で、2010年から2011年にかけて刊行された。物語の舞台は、1984年の東京。主人公の3人、小説家の出来杉浩一、身分不明の殺し屋である桐原書簡、そして彼女を探す深夜放送局のアイドル、アオミミ(青豆)の視点から、二つの現実が交錯する「1Q84」という世界で展開される。
感想
読み始めると、どこか異なる現実世界に迷い込んだかのような驚きを覚える。物語は情緒的なエネルギーを放ち、多くのキャラクターがさまざまな内面抱え、鮮烈な巨大象徴である「月」を中心とした物語は、時々ビジョン的で、時にアレゴリー的である。 読み進めるにつれ、一体、この不思議で広大な物語をどのようにまとめるのか不安になるが、謎が解決する過程には、村上の色あせない筆致が発揮されている。読みが進むにつれ、不思議と主人公達と共に時間が過ぎているような錯覚を覚えることもある。
総評
『1Q84』は、村上の長編小説の中でも特筆すべき傑作である。不思議な物語世界、緻密で深い内面描写、まるで現実にあるかのようなキャラクターたちが、登場するたびに、驚くほどに鮮明に躍動しているように感じることができる。また、本の構成や文章に至るまで、抜群の完成度がある。これは、文学的な読み応えを求める人にとって、文句の言いようがない小説であるだろう。
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