「ノルウェイの森」書評

あらすじ

村上春樹の「ノルウェイの森」は、主人公の青年・トオルと、彼が出会った2人の女性・ナオコとレイコとの三角関係を描いた小説である。物語は、東京大学在学中のトオルが、友人である恭子の命日に偶然再会したナオコと出逢い、その後、彼女の姉であるレイコとも交際するようになるまでを描く。

「ノルウェイの森」は、人を描写する力が非常に高く、登場人物たちがそれぞれ深みを持っていることが魅力の1つであると感じた。特にナオコは、神経質な一面と、深い傷を抱えた過去が重なり合い、独特の魅力を放っている。一方で、トオルが彼女たちに対して持つ感情や、自分自身の内面も丁寧に描かれている。

また、小説中に登場する楽曲も非常に印象的で、それぞれの歌詞が物語の進行に重要な役割を果たしている。音楽が物語に織り込まれたことで、より深い感情表現が可能になっていると感じた。

一方で、長さが約400ページとやや長めであるため、読み進める上での集中力が必要になるという点は注意が必要である。また、あくまで小説としてのエンターテインメント性は少なく、静かな物語であることも覚悟が必要かもしれない。

「ノルウェイの森」は、登場人物たちの深みや、音楽と物語の関係性による感情表現が魅力的な作品となっている。ただし、長さやエンターテインメント性に注意が必要だと感じた。村上春樹ファンや、人物描写に興味がある方におすすめしたい。