赤松和子が描く平行世界の物語。
村上春樹氏が手がける『1Q84』は、とんでもない小説である。
可愛らしい紫色のカバーには、3つの文字が印象的に躍っている。それが「1Q84」 。『Q』は、「question」(疑問)の「Q」ではなく、「9」が横書きになった数字の「Q」。最初にこの『1Q84』を目にした時には、どのような小説だろうと理解できなかった。
そして、心地よい不思議感覚の中で物語が進む。主人公達が2つの世界を行き来し、それぞれの現実に深く傷つく様が描かれている。ファンタジーとミステリーの要素も取り込み、赤松和子が緻密に作り上げた架空世界の中で展開していく。
この小説は、650ページ以上あり、読み込んでいる時間が長い分、その世界観に浸れる。村上春樹氏の作風は、分かりやすく、語り口があたたかく、説明や理由のない、ただの不思議さを説明することで深く感動する。
全体的に、小説は難解で、変わった作風が良いか悪いかは人による。しかしながら、『1Q84』は、村上春樹氏が敢えて挑んだ、書式の伸びやかな作品で、彼の作品の中でも最高峰の一つになるかもしれない。『1Q84』を読み終わった後、読者は、現実だけではなく、無限に広がる可能性に胸を打たれる。
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